馬術部の一年(試合編)

こんにちは!

馬術部四回生の尼岸です。

 

今回のブログを読んでいただく前に、少し説明します。

大学の馬術部と一般の乗馬クラブとの大きな違いは「学生戦」という試合があること。

「学生戦」に出られるのは、大学で馬術部に所属する選手だけ。さらに、運営も学生で行う、まさに「学生の、学生による、学生のための」試合です。

 

機会があれば一般の試合にももちろん出られますが、大学の馬術部員にとってはやはり「学生戦」で結果を残すことが一大目標となります。そこで今回は、馬術部の一年、とくにその学生戦に焦点を当てて紹介していきたいと思います!

三月下旬:スプリングトライ

競技シーズン初戦の試合です。

初コンビを組む人馬が多く、フレッシュな印象があります。

 

 

障害馬術の試合は、バーの高さによってクラス分けされています。スプリングトライでは、学生戦で行われるものとしては最もバーの高さが低い「60センチ」クラスの障害の競技があります。

 

そのため、一回生はスプリングトライで、初めて障害の試合に出ることが多いです。

馬術を始めて約一年で、ほとんどの部員が障害の試合に出ることができますよ(*'▽')

 

 

黄色いビブスの学生は、「関西学生馬術連盟」通称「学馬連」所属の学生です。各大学から数名ずつが選ばれます。

 

分かりやすくいえば「文化祭実行委員」のような感じ。年に6回行われる学生戦はすべて、この「学馬連」の学生によって運営されます。

 

それだけでなく、試合に出る選手たちも、手が空いているときは積極的に障害の設営や撤去などを手伝います。学生が作る試合、それが学生戦の魅力です。

五月初旬:春学(今年度はコロナウイルスの影響のため中止)

GWどまんなかに三日間行われる試合です。

4年間で一度しか出られない新人団体戦が行われたり、チーム戦の競技があったりと、他の学生戦に比べてバラエティ豊かな競技が特徴です。GW開催ということもあって観客も多く、合間にイベントもあったりと、お祭りみたいで盛り上がる試合です。

 

春学名物:LA団体戦

 

 おそろいのポロシャツを作ってチーム戦に挑みます。なんともフォトジェニック。

 

 

春学は例年GWに行われます。

晴れの日が多い時期なので、毎年晴天の中試合をしているイメージです。

 

 

四月に入部した一回生は、ここではじめて本格的な馬術の試合を見る子が大半。初めて見る馬術の試合は、きっと鮮烈に記憶に残るでしょう。

 

 

三日間行われる試合なので、出場する部員は試合会場の近くのホテルに宿泊します。

当然ご飯もみんなでいっしょに(*'▽')

 

試合に行った時の食事は、基本先輩が奢ってくれますよ!(体育会系運動部)

六月下旬:総合複合予選

主に「総合馬術」が行われる試合です。

「総合馬術」が行われる学生戦は、この試合と全国大会のみ。

総合馬術の選手たちにとっては、全国大会に向けた大切な予選です。

 

 

総合馬術は、「障害馬術」「馬場馬術」そして「クロスカントリー」の三種目を、すべて行うとてもハードな競技です。

 

これは馬場馬術の様子。

決められた演技を、いかに美しく、正確に行えるかを競います。

 

クロスカントリーの様子です。

いつもの馬場ではなく、自然の中に作られたコースを馬で走ります。

 

←飛ぶ障害も、バーではなく丸太などの固定障害です。

 

 

クロスカントリーのコースの中には、こんな池もあります(通称:日本庭園)

 

ぜひ現地で見てほしい迫力です!

 

 

障害馬術の競技時間は一分ほどですが、クロスカントリーは五分ほど。馬にとっても選手にとっても、体力勝負となります。

 

写真は、無事走り切り、相棒をねぎらう選手です。

 

三種目めが障害馬術。

 

別名「余力審査」とも言います。

文字通り、馬場・クロスカントリーと終えた後の「余力」を示します。

 

総合馬術が、「ホーストライアスロン」と呼ばれるのも頷けますね。

 

 

 

この試合ではこんな一コマも(*'▽')

クロスカントリーのコースを、選手だけでなくサポート部隊やコーチも交えて、みんなで歩いているところです。

何事も下準備が肝心!

七月中旬:夏学

真夏に行われる試合です。

学生の試合では最大の「130センチ」の高さの障害の競技が行われます。

11月の全国大会の、関西予選という位置づけの試合です。

 

「130センチ」クラスの障害の競技。

 

大迫力です。

 

全国大会への切符を掴むため、選手たちの騎乗にも力が入ります。

 

夏学を語るうえで、もうひとつ欠かせないのが「選手権予選」です。

 

いつもの競技とは異なり、違う大学の馬に乗る「貸与馬戦」形式で行われます。

直前までどの馬に乗るか分からず、ドキドキする競技です。写真は「部班」とよばれる競技で、複数の人馬が同時に運動します。

 

 

試合会場の厩舎地区にて。

 

真夏の試合は、馬も人間も暑くてたいへんです。

八月下旬:秋学

夏休みに行われる試合です。

一回生のデビュー戦、そして四回生の引退試合となることが多いのがこの秋学。

毎年たくさんのドラマが生まれます。

 

 

大学から馬術を始める部員は、まずジムカーナという競技に出場します。

 

入部して約4ヶ月の1回生。

初試合です。白キュロットに白ポロシャツの勝負服に身を包むのもはじめて。

少し緊張、けれど笑顔で馬場に向かうところです。

 

 

 

ジムカーナの様子です。

 

馬に乗って行う障害物競争のような競技です。

 

スラロームや横木またぎなど、コースに置かれた障害物を決められた順番にクリアします。

 

規程タイムがあり、そのタイムにもっとも近いタイムで走行した選手が優勝します。

 

 

 

 

「80センチ」クラスの障害の競技です。

写真は、馬術を始めて約一年半の二回生です。このクラスの競技では、ほとんどの選手が大学からの初心者です。

 

 

「100センチ」クラスの障害の競技です。写真は、この試合が引退試合だった四回生です。四年間の成果を見事に出し切り、無事に完走しました。

 

 

「110センチ」クラスの障害の競技です。写真は、大学から馬術を始め、ついに総合馬術の試合にまで出場した四回生。立派な引退試合でした。

 

 

初めて貰うトロフィーやリボン。

 

4年の集大成のトロフィーやリボン。

 

喜びもひとしおです。

 

 

十一月上旬:全日本学生馬術大会(全学)

学生戦における最大目標、つまりは全国大会です。

全国の馬術部の部員たちは、この全学で結果を残すことを最大目標としています。

一週間にわたって、障害馬術、馬場馬術、総合馬術の三種目が行われます。

 

 

最初の二日間は障害馬術。

学生戦としては最大の高さ、130センチの障害で行われます。 

 

毎年80組近くの人馬が出場し、しのぎを削る様子は壮観です。

 

 

 

障害馬術の試合は、長くても一分ちょっと。

 

その一分間のために、選手たちは一年間練習に励むのです。

 

 

 

優勝大学の選手によるウイニングラン。

 

関西大学馬術部は、過去にこの全学の障害馬術競技において、4連覇を達成しています。近年でも2017年に団体優勝、2018年に個人優勝と輝かしい成績を残しています。

 

 

三日目と四日目は馬場馬術競技。

 

三日目に予選を勝ち抜けた10組の人馬が、四日目の決勝へと進みます。音楽に合わせた演技を作り上げる「キュア」という演目は、学生戦ではこの全国大会でしか見られないのでとても貴重です。

 

全国から集まったえりすぐりの人馬たち。

選手が燕尾服を着用するところも含めて、とても高貴で優雅な競技です。

 

最後の二日間は総合馬術です。

 

写真は、クロスカントリーを激走する人馬です。

 

 

まさに一年間の集大成。

 

応援する方も、力が入ります。

 

閉会式の様子。

 

北は北海道、南は鹿児島から参加する選手たちです。これだけたくさんの大学に馬術部があります。

 

(実は東大や早稲田、慶応大学にも馬術部があるんですよ・・・!)

 

 

スプリングトライから全学までが、学生馬術におけるワンシーズンです。全学が終わると四回生が引退し、次の世代の部が始まります。

 

いかがだったでしょうか。

このように馬術部の一年間は、学生戦とともに流れていきます。

大学からの初心者組は、秋学デビュー→スプリングトライ→春学→(総合複合予選)→秋学というローテーションになることが多いです。馬術は基本的にシーズンオフのない競技なので、冬の間にもいくつか試合がありますが、それはまた別の記事で紹介したいと思います。

 

さいごまで閲覧してくださった皆様、ありがとうございました!

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